雌阿寒岳~今も盛んに噴煙を上げる活火山~ 


標高
雌阿寒岳 1,499m
山域
北海道
登山日
1997年7月20日(日)
歩程
登り2:15、下り1:55、合計4:10
歩行距離
8.3km
標高差
856m
累積標高差
856m、-856m
登山口
オンネトー登山口mapon
交通機関
 釧路から93km
登山コース
オンネトー -2:15→ 雄阿寒岳 -1:55→ オンネトー
コースmap
雌阿寒岳 オンネトーコース

 

深田久弥氏の日本百名山のひとつに阿寒岳があります。阿寒湖を挟んで雄阿寒岳と雌阿寒岳の二つの阿寒岳が対峙しています。雄阿寒岳は古い火山の山で、阿寒湖の湖畔から急峻な稜線を空に向かって突き上げています。雌阿寒岳は今なお噴煙を上げる活火山で、深田久弥氏がこの山に登ろうとしたときは、噴火のため登山規制が行われていたと言います。このため仕方なくこの時は雄阿寒岳に登ったようです。そのどちらを百名山とするかは論議の分かれるところですが、百名山の原本ではこの二つの山を阿寒岳として紹介していようです。自分が登った山のみを百名山選定の基準の一つに上げていた深田久弥氏にとっても、やはり雌阿寒岳も百名山の一つに加えたかったのが本心であったのでしょう。

雌阿寒岳への登山道は3つ開かれていると言います。一つは阿寒湖畔から、もう一つは雌阿寒温泉から、更に一つがオンネトーから。いずれも標高差は800メートル前後。2時間から3時間で山頂にたどり着けると言います。今日は比較的簡単と言うオンネトーから山頂を目指すコースをたどることにします。

釧路から阿寒湖畔へ。阿寒湖畔からしばらく進んだところで道を左に。足寄国道をしばらく走ると左手にオンネトーに向かう道が分かれています。針葉樹に覆われた道をしばらく進むと、ひっそりと水をたたえるオンネトー。明るい阿寒湖や神秘な色を見せる摩周湖の湖面とは一味違う小さな湖は、阿寒の隠れたビューポイントの一つでしょう。狭く曲がりくねった湖畔の道を約半周。オンネトー青年の家の広い駐車場に車を停め、山頂を目指すことにしました。

山行の記録

 登山口~雌阿寒岳

登山口からは暗い針葉樹林の中を緩やかに登り始めます。寒い道東とは言いながら、7月はやはり夏山の季節です。しばらくすると額には汗がにじみ始めてきます。暗い登山道は雨などで土砂が洗い流され、トドマツなどの根が張り出しています。やがて針葉樹の中にハイマツなどが混じってくるようになると、視界も徐々に開けてきます。さらに高度を上げると、登山道は火山礫に覆われた明るい斜面を登る道となります。右手には阿寒富士の円錐形の山頂が真っ青な夏空にそびえています。まだほとんど草木が生えていない砂礫の山肌には、雨による侵食の爪痕が幾筋も走っていました。

荒々しい火口壁に覆われる噴火口
噴煙を上げる噴火口の先に阿寒富士

この付近からは雌阿寒岳のお花畑が始まります。登山道を彩る花に励まされ砂礫の斜面を登って行きます。振り返ると針葉樹の林の中にオンネトーがコバルトブルーの水をたたえていました。登山道は左手、雌阿寒岳の山頂に向かい火山礫や溶岩などに覆われた斜面を登って行きます。それほどきつい登りではないものの、登山口からここまですでに1時間半。道端の岩に腰を下ろし小休止です。

小休止の後、ふたたび岩屑に覆われた登山道を登って行きます。やがて硫黄の臭いが鼻を突くようになってくると火口壁の一角です。左手には盛んに噴煙を上げている噴気口がありました。

たどり着いた雌阿寒岳の山頂は広く開けた砂礫の広場で、すでにたくさんのパーティが昼食を楽しんでいます。我々も山頂を少し下った斜面に腰を下ろしおにぎりの昼食です。

原生林の中に静かに水をたたえるオンネトー

山頂から眺める火口原には小さな沼が一つ。その色から青沼と言います。あとで知った話ですが雌阿寒温泉方向に少し下ったところからは、赤い色をした赤沼を見ることができると言います。目の前に広がる荒涼とした噴火口は中マチネシリ火口。小さな頂はマチネシリです。月面のクレータを連想させるような、荒涼とした世界が広がっていました。この火口壁の上には、阿寒湖畔から登ってくる登山道が続いてるようで、数人のパーティが火口壁の上を歩いていました。

 雌阿寒岳~登山口

山頂で展望を楽しんだ後、往路を登山口へと戻ることにします。途中のコルから目の前の阿寒富士山頂までは約40分とか。時間が許せば登って行くこともできそうですが、ここはおとなしく帰路を急ぐこととします。目の前に広がる原生林とその中に青く水をたたえるオンネトーに別れを告げ、樹林帯の中を徐々に高度を落として行きます。しばらく下ると、車を停めたオンネトー青年の家の前にたどり着きました。

 雌阿寒温泉

雌阿寒岳は天候にも恵まれた山行でした。寒冷な道東の夏とは言いながらやはり夏山。帰り道に温泉に入り汗を流して行くこととします。登山口の一つ、雌阿寒温泉には2軒の温泉宿があります。ここでは日帰り入浴もできるようです。硫黄の香りが強い温泉は湯量だけは豊富。しかし露天風呂や泡風呂など今流行の設備は何も無いひなびた温泉です。それでも汗を流すと心までさっぱりするのは、やはり日本人なのでしょうか。

Panorama
山頂直下に広がる中チマネシリ火口は月のクレータを連想する荒涼としたところです
山で出会った花たち

雌阿寒岳は今も噴煙を上げる火山でありながら、高山植物の豊富な山です。メアカンの名前を冠した花はメアカンキンバイやメアカンフスマ。何れもこの山の特産種ではないものの砂礫の斜面に大きな群落を作っていました。

薄紫の袋状の花はタルマエソウの別名を持つイワブクロ。北海道の高山では何処にでもある花のようで、斜面のあちこちに大きな群落を作っています。

 イワブクロ
 イワギキョウ
 メアカンキンバイ

薄水色の可憐な花はイワキキョウ。チシマキキョウとは良く似ていますが、花の色がコバルトブルーで上を向いて咲くのがイワキキョウ、紫色の花が横を向いて咲くのがチシマギキョウとか。

数は少ないようですが登山道から離れた斜面の中にはコマクサが咲いていました。コマクサは他の草木も生えることができない砂礫地を好むようです。高山植物の女王といわれることから、かなり盗掘などが行われているようで、この山でも登山道から遠く離れた斜面に中にひっそりと咲いているようです。

その他のコース・山行記録
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